考えるな。感じるんだ。
それは月を指差すことと似ている。
指先にこだわっていては、その先にある素晴らしいものを手にはできない。
これは、このブログのタイトルにした「Don’t think ! Feeeel !」を含むブルース・リーのセリフの和訳です。
映画「ENTER THE DRAGON」の冒頭の有名なシーン。
ある犯罪組織の開催する武術トーナメントへの潜入捜査をリーに依頼するブレスウェイト氏。
そこへ、リーの弟子、ラオ少年が、師の教えを請いにやってくる。
「It's Rao's time」 ブレスウェイト氏との話を打ち切り、ラオの元へ歩み寄るリー。
「Kick me.」
ラオに蹴りを見せろと言うリー。
ラオ少年は、横蹴りをやってみせる。
「何だそれは?蹴るマネか?」 とブルースはもっと集中して蹴ることを要求。
ムッとして、力任せに蹴りを繰り出すラオ少年。
「私は、集中しろと言ったんだ。怒れと言ったのではない。」と再度蹴ることを要求する。
ビシッ!! ラオ少年の蹴りが決まる。
「それだ!!」と叫ぶリー。 「どんな風に感じた?」とラオ少年に質問する。
「私が考えますに・・・」と語り始めたラオ少年の言葉をさえぎり、リーがここで発するのが例のセリフです。
その後、礼をするときに視線をはずすラオ少年をたしなめたところでレッスン終了。
有名なタイトルバックへ「チャ~~~~ン、チャンチャン!!」と突入するのです。
この映画は、ブルースの武道、武術への想いが詰まったコンセプトムービーとも言える作品なのです。
最初のシーン、少林寺で、パンツ一丁、自ら考案したオープンフィンガーグローブで、あの「デブゴン」サモ・ハン・キンポーと試合をするリー。
その試合は、打ち、蹴り、投げて、関節技で極めるという、後の総合格闘技を髣髴させるものです。
また犯罪組織のアジトであるハンの要塞島へ渡る船の中、東洋人に執拗に嫌がらせをする、トーナメント出場者に「お前の流派は?」と問われ
「My style? Fighting without fighting」 (私の流派?戦わずに戦う)(戦わずして勝つ)
と答え、「見せてみろ」という相手を「あの小島で見せよう。」と誘い、おんぼろボートに先に乗せ、ロープを解いてさらし者にしてしまうあたり、まさに兵法「戦わずして勝つ」の実践です。
犯罪組織のボス、ハンの用心棒、妹の仇でもあるオハラとの試合では、試合の前に手に持った板を割るオハラに対し一言
「板は打ち返さない」 (字幕はなぜか、決着をつけよう・・になっていましたが・・・)
全編にちりばめられたブルースの武道哲学。
私はこれを子供たちに理解してもらおうと、道場でスクリーン張って上映会をしたわけです。
ただ、この映画、ハリウッド製なので、劇中ほんの一箇所だけ、少~しお色気シーンみたいなのがあるのです。
トーナメント出場選手が、一人一人、部屋で女性のマッサージ等の接待を受ける・・・というシーン。
”はやくこのシーン終わんないかなー”、などと考えていると、何やらワイワイと表が騒がしくなってきました。
”まさか・・・”
私の脳裏にイヤ~~な予感がよぎりました。
じわじわと近づいてくる足音と話し声。
果たしてその喧騒の正体は・・・・。
お借りしている剣道場の主、夏休み中で遠征に行っていた女子剣道部が、荷物を置きに、上映中の剣道場へ帰って来たのでした。
”なに~~~~!!なんで、このタイミングで~~~~?!”
(>o<)
測ったように、タイミングばっちりでした。
長男が中一の時の担任でもある顧問のH先生は、私と挨拶を交わした後、ポカーンとした表情でしばらくスクリーンを見つめていましたが、やがて無言で行ってしまいました。
”ちが~~~~~~~~う!誤解だ~~~~~~~!”
私の心の叫びは、誰にも届くことはありませんでした。(ToT)
とはいえ、「ENTER THE DRAGON」は、不朽の名作です。
まだの方は、ぜひ一度ご覧下さい。